2006年10月アーカイブ

出典:

Yomiuri Online (2006年10月26日 付)

記事:

安倍首相の諮問機関「教育再生会議」は、25日から本格的な議論に入った。分科会もできるが、何に重点を置くのか、必ずしも明確ではない。(解説部 中西茂)

◆見えにくい方向性 「非公開」が拍車

2回目となる同日の会合で、「学校再生」(第1)、「規範意識・家族・地域教育再生」(第2)、「教育再生」(第3)の3分科会の設置が決まり、17人の委員は第1、第2のどちらかに所属、第3は制度面を含めた総合的な議論の場とすることになった。

一方、再生会議の発足とほぼ同時期から、北海道や福岡で、いじめを苦にした小中学生の自殺がクローズアップされ始めた。再生会議では、再生が必要な象徴的な例として、この問題を取り上げようという姿勢がうかがえる。文部科学省の小渕優子政務官に続いて、再生会議事務局長である山谷えり子首相補佐官と、委員の1人でもある義家弘介担当室長が同日、現地調査のため福岡入りした。

確かに、いじめを巡る北海道や福岡の事例では、教師の資質や教育委員会の指導体制が問われている。だが、「いじめられる側がいじめだと感じたら、それはいじめだ」という鉄則が無視され、校長が教師の責任について遺族の気持ちを逆なでするような発言をするような事態から、何をくみ取るのか。それによって、再生会議での議論も変わってくる。

再生会議の主要テーマとされるものの一つに、教員免許の更新制が挙げられている。安倍首相が公約にも掲げた。

ただ、更新制は、すでに文部科学省の中央教育審議会による答申を受けて、法案化に向けた作業が進んでいる。答申にあった更新制では、不適格教員を排除できないという指摘が強い。

では、免許更新という制度の中で、不適格教員を排除するためにはどんな方法があるのか。来年1月の中間報告に向けて、中教審答申に盛られた制度にどう修正を加えていくのか、それとも別の形で排除する方法を強化するのか。それは「これからの議論」(山谷補佐官)だ。

会議後の説明を聞く限り、この日の議論ではまだ、「義務教育とは何か、何を教えるのかといった共通認識が必要ではないか」「社会人を教育の場に積極的に登用すべきではないか」といったように、入り口に立った意見も少なくなかったようだ。「大学や大学院のあり方も真剣に討議していきたい」という発言もあり、議論の幅はかなり広いという印象を受ける。

方向性が見えにくい理由の一つに、会議の非公開がある。詳細な議事録の公開を前提にしてはいるが、会議当日は15分か20分ほどの会見で、会議での発言内容が説明される程度だ。

そもそも、政府の審議会は原則公開となって久しい。経済財政諮問会議など、非公開の会議もあるが、かつてはすべて非公開だった中央教育審議会の審議は、いまでは100%公開されている。それで支障が出たという話は聞いたことがない。

再生会議の野依良治座長は初会合のあった18日、「私は科学者ですが、事実は真実の敵という。議論の内容を理念的に伝えることが重要だ」と、ミュージカル「ラ・マンチャの男」のせりふを引き合いに出して、非公開の理由としたが、説明が足りない。公開されている他の審議会にも所属している再生会議の委員は少なくないはずだが、そこでは十分な議論ができないのだろうか。

25日の会見で、池田守男座長代理は「社会全体に協力いただかないと実践は難しい。国民の意見を再生会議が積極的に聞き、こちら側も積極的に提言していく」と述べた。それなら、もっと議論の中身についても、積極的に明らかにする姿勢を示すべきではないか。とりわけ国民全般にとって関心の高い教育問題で、議論のニュアンスや、議論している人の熱意を伝えるには、肉声しかないと考える。

分科会ではいずれ、安倍首相が著書で積極的に提唱した「教育バウチャー(利用券)制度」という、一般にはなじみのない制度や、大学の9月入学といった国民生活に多大な影響を及ぼす制度についても、議論されることになるだろう。そのとき、審議の透明性が確保されているかどうかで、国民の理解や支持に大きな違いが出ると思う。

コメント:

特に理科の教師については入り口・出口の議論と共にどのように教育するかも重要な論点になる気がします


出典:

しんぶん赤旗(2006年10月 4日 付)

記事:

日本学術会議(金沢一郎会長)は三日の総会で、科学者の不正行為を防止するための倫理規範にかんする声明「科学者の行動規範について」を採択しました。

声明は「はじめに」で、「近年わが国では、競争的研究資金等の外部研究資金を獲得する競争の激化や任期制ポストの増加などにともない、研究者は短期間で成果を挙げることが求められる傾向が強まる」など研究環境の大きな変化のなかで、「あらためて科学者の自律性が求められる」と指摘。

その上で、「科学者の行動規範」として科学者個人および科学者コミュニティーが順守すべき倫理規範を「科学者の責任」など十一項目にまとめ、あわせて大学などにたいし倫理綱領などの制定など八項目を列挙して自主的かつすみやかな実施を求めています。

声明の発表にさいし、金沢一郎会長談話では、「専門職としてさらに加えるべき倫理など検討すべき課題は残っている」とのべています。

コメント:

俗人的な問題ではなく構造的な問題な気がします。もちろん個々人の倫理意識の向上は必須ですが、、、


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