2006年8月アーカイブ

出典:

中日新聞(2006年8月29日 付)

記事:

理工系女性の地位向上は有望な"卵"を増やすことから。埼玉県の国立女性教育会館で三日間の合宿「女子高校生夏の学校」が開かれ、全国から百人を超す生徒が集まった。学年が進むにつれて減少していく理工系志望女性をつなぎ留めようと、学会を横断して懸命の取り組み。果たしてその成果は-。 (吉田薫)

「電池につながれていないのに光るアンテナを作ってみましょう」。女性研究者の指導で半導体の実験に取り組む女子高校生たち。ほとんどが初体験のはんだ付けに苦戦しながら、携帯電話に付ける発光ダイオードの工作を完成させていく。興味に応じてさまざまな実験が用意され、DNAの電気泳動や、音声認識の実験に取り組む生徒もいる。

見本市のようなブースでは、生物、物理、天文、原子力などの学会がそれぞれの魅力をアピール。研究者の説明を熱心に聞く姿が見られた。

一線の研究者、技術者による講演も。たとえば鹿島の天野玲子土木技術部長は「トンネルの現場に女性が入ると山の神が怒るといわれた。それは危険な場所に女性を立ち入らせないためだったり、事故を発生させないよう細心の注意を払おうという精神の表れ。現在、土木の現場で女性だから働けないということはない」と話した。

このイベントは文部科学省と日本学術会議の音頭取りにより、今年が二回目。高校生の反応はどうか。

根岸福さん(近大付属東広島高)は「やると決めた道を積極的にやっている先輩がたくさんいることが分かった」。平川絵理佳さん(佐賀・武雄高)は「あらためて土木分野へ進みたいと思った。でも親の説得をどうするかが一番の問題」。坂本怜子さん(静岡雙葉高)は「無重力を利用した宇宙実験の話が面白かった。でも、問題は受験です」。

学問の魅力はそれなりに伝わったようだが、大学受験や家族の考えといった"現実の壁"も突破しなくてはならない。

イベントの企画委員の一人である大隅典子・東北大教授は「主にスーパーサイエンス校に指定された学校の生徒に声をかけた昨年に比べ、ことしは幅広い層の生徒が集まった。理系の女性が普通の人と同じだということを知ってもらい、理系進学への偏見をなくすことを狙った」と話す。

理系の負の面、たとえば論文を書く困難さ、家庭との両立の難しさは伝わったのか。大隅教授は「大学院生への支援は、金銭的には充実してきたし、子育て支援も進んでいる。男女を集団で比較したとき、性差がある分野は存在する。けれども個人差の方がはるかに大きいことを知ってほしい」と言う。

女性研究者が一生懸命になる背景には、科学界での女性の地位の問題がある。全大学の理学系で、助手は女性が17%を占めるのに、教授は4%にすぎない。絶対数も少ない。工学系の学位取得者に占める女性の割合を国別に比べると、日本は9%なのに、米・独・仏・英・韓はいずれも20%を超す。日本の高校では学年が進むにつれ、女性は文系希望者が増えていくというデータもある。

粂昭苑・熊本大教授は「とにかく女性研究者の数を増やすことが大切。まず科学の面白いところを伝えなくては」と話す。企画委員らは、卵を育てる社会に向けても「理系に女性を」と呼び掛けていくことにしている。

コメント:

男女性差より個人差の方が大きい、本当に知ってもらいたいことですね


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excite news(2006年8月 9日 付)

記事:

親戚の家に行ったとき、おばちゃんが「好きな本を持っていっていい」と言うので、もらってきた『理科なぜどうして一年生』(偕成社)。1957年1刷の、古い本である。

これを読んでみると、「理科」の解釈のおおらかさにビックリするところが多々ある。
たとえば、「にわとりが、たまごをうむとなくのはなぜですか」。この問いに対しては、「ちいさなからだで、あんなにおおきなたまごをうむのは、にわとりもずいぶんほねのおれることでしょうね。(中略)『ああ、うれしい』 もし、にわとりにことばがあったら、きっとこんなことをいうでしょう」と、にわとりの気持ちを推し量った答えをしている。
にもかかわらず、「きは、きられてもいたくないのですか」には、「きや くさには いたいのをかんじるところがないのです。だから、はさみできられても、ひをつけられても、なんともないのです」とキッパリ。今のお父さんお母さんなら、「まぁ、なんてヒドイこと教えるのかしら!?」と怒り出しそうです。

また、「いもむしは、どうしてちょうになるのですか」の問いには、「もし、いもむしが、みんなちょうにならないで しんでしまったら、いもむしはこまります」と、答えになってるのかなってないのかわからない回答。
「てるてるぼうずで、あめがはれますか」の問いには、「さんた」くんという男の子のエピソードを用いて、「てるてるぼうずでは、あめをとめることができないのです」と、結局、夢ぶちこわしな返しをしている。

さらに、驚いたのは「にんげんのせんぞは、さるですか」。
これに対する答えは「さるは ねずみより りこうです。にんげんは さるより りこうです。(中略)どうぶつには、りこうでないものも、りこうなのもいますが、りこうなどうぶつほど、あとになってでてきました」と、優劣で回答している。うるさい親に噛み付かれないか、心配になってきます......。

また、他にも、1968年1刷の『なぜなに理科2年生』(小学館)では、「小学二年生は、どのくらいねたらいいですか」「どうぶつで、いちばんはやくしぬのは、なんですか」などの難問を紹介。
ちなみに、現在、発行されている「理科」の本を見てみると、つくりは同じようでも、設問・解説がまったく違って、かなり現実的! 時代の流れを感じてしまうのでした......。

コメント:

教科書というよりネタ本ですね。


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